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基本理念
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により世界は一変しました。
国内のプレホスピタルケアも同様に様変わりしました。感染対策としてより厳格化された個人防護具(PPE)、医療体制のひっ迫により搬送先医療機関が見つからず長引く現場滞在時間、隊員の感染による欠隊の危機、また、市民からの119番が繋がらない、繋がっても出動する救急車が無いという事態も経験しました。さらには、救急出動体制がひっ迫している状況や、連続する出動の合間にコンビニエンスストアで食事を摂らざるを得ない隊員の状況などを市民の方々に広報し、理解していただく必要もありました。
もはや救急隊単独でこういった不測の事態に対処していくことは困難となっています。どのような状況下にあっても適時適切な救急搬送を実施するためには、同じ組織内であれば消防隊や指令センター、組織外であれば国や県、医師や看護師、薬剤師、介護士やソーシャルワーカーなど、様々な職種の方々との連携が必要不可欠です。また、IT技術の進化によるDX化や、法改正によるインホスピタルで活躍する救急救命士の誕生など、救急医療体制を取り巻く近年の環境変化は目覚ましいものとなっています。
時代の変化に適応した救急医療体制を整備するためには、組織の垣根を越えてボーダレスに連携ができる仕組みを構築していく必要がありますが、そのためには様々なハードルがあるものと考えられます。しかしながら、「苦しんでいる傷病者の方に1分1秒でも早く手を差し伸べ、1人でも多くの命を救い、笑顔で暮らしてもらいたい。」と思う気持ちは皆同じだと思います。
名古屋のシンボルマークと言えば「まるはち」です。丸は無限に広がる力、八は末広がりで発展を示し縁起が良いとされています。
本シンポジウムでは、この名古屋の地で、コロナ禍以降築きあげた消防の内外を含む多種多様な職種の方々との連携を再確認するとともに、コロナ禍において生み出したアイデアと取り組みを集積し、相互理解を深めることで、プレホスピタルケアの新たな形を模索し、無限に広がる力として未来へ発展させていくことを目指します。